千年の追憶*番外編*
礼孝様はピリッと表情を引き締めて、口を開いた。


「高彬(たかあきら)。
悪いがお引き取り願いたい。
この鬼は、私の獲物です。
しかし…。
あなたも陰陽師の端くれなら、そんな妖刀になど頼らずに、ご自分の術にて祓うのが、筋ではないんですか?」


落ち着いた口調で、諭すように礼孝様は高彬という陰陽師に告げた。


「いやぁ、ご立派な陰陽師殿は言う事が違うねぇ!
実に、ごもっともな正論だ。
でもよ、悪いがやらせてもらう。」


高彬様は、音もなく妖刀を引き抜いた。


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