千年の追憶*番外編*
「ほら。あそこ。
早時が立っていた場所です。
よく見てご覧なさい。」


礼孝様は、そう言って早時が立っていた場所を指差した。


あたしは何となしに、礼孝様に言われるまま、目を向けた。


「分かりますか?
早時の銀色の髪が、落ちているんですが…。」


「…髪?」


礼孝様の言わんとしている事がよく理解できなくて、あたしは礼孝様の横顔を見つめた。


何故だろう、今まで何とも感じなかった礼孝様の涼やかな横顔に、あたしは少しドキッとしてしまった。


「そう。髪。
落ちているでしょう?」


あたしは、瞳を凝らす。



< 94 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop