千年の追憶*番外編*
そう言われてみれば。


銀色に光る二本の絹糸のようなものが、あるかもしれない。


「こんなこともあろうかと、実は早時に、自分の分身を造る術を、教えておいたんです。
あれは分身を造る時に使った、早時の髪です。
こんなに早く使う機会がやってくるとは、思っていませんでしたよ。
教えておいて、正解でした。
しかし…。
早時は、さすがですね。
術を、見事に使いこなしてくれました。
これでもう、心配ありません。
早時が誰かに襲われて、怪我をする事はないでしょう。」

あたしは目をパチクリとさせて、礼孝様を見つめた。


なんて優しくて、慈悲深いお方だろう。


幼い頃から礼孝様とは、ずっと一緒に居た。


気がつけば、いつもあたしの隣に居てくれた礼孝様。


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