千年の追憶*番外編*
礼孝様はいつも優しい笑顔で、あたしを見つめ返してくれる。


礼孝様に絶対の信頼を置いているあたしは、無条件で安心できた。


改めて、礼孝様の事を思った事はなかったな。


「では・・・。早時は無事なんですね?
礼孝様も、お怪我がなくて何よりです。」


言いながら、またあたしの醜い頬を、涙が伝うのが分かった。


二人が無事で本当によかった。


あたし、こんなに泣き虫じゃなかったのに・・・。


早時の事は勿論心配だけど、礼孝様の事も気になった。


礼孝様にかけてもらった言葉を、あたしは素直に嬉しいと思っていたんだ。


あんなに早時に、恋焦がれていたのに。


< 96 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop