嘘吐きな恋人
「三日で切り替えられんのかよ」

「……知らない」

「それができんなら、とっとと捨てて終わらせたらいいのに」


それも知らない。適当に言い返すと、木原はしょうがなさそうに笑った。
当たり前だけどしろとは違う笑い方だった。


「帰るんなら、ぱーっと遊んで帰れよ、付き合ってやろうか?」

「その格好で?」


野球部の練習着を既に着込んでいる木原を指して言えば、「南高の4番が練習さぼってまで付き合ってやるって言ってんだからすげぇ話じゃねぇ?」と真面目な色合いを消すように笑う。

それにつられて小さく笑ってから、なんだかひどく久しぶりに笑ったような気がした自分に驚いた。


「っつかさ、千沙も暇してんならまたマネやってよ。おまえ、野球好きだろ?」

「まぁね。でも高校はきつそうだから。応援だったらしてあげてもいいけど。もうすぐ地区予選でしょ?」

「なんだかんだ言って気にしてくれてんじゃん。っつかいいじゃん、きついくらいの方が変なこと考えないですむし、千沙には向いてると思うけどな。健康的に身体動かしゃ良いじゃん」

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