嘘吐きな恋人
「千沙はさ」
屋上にある日陰で、ぼーっと寝転がっているのは、純粋に気持ちがいい。
昼からの授業に戻る気がしなくて、そのままそこに居残ることを選択したあたしの隣には、当たり前のようにしろが座っている。
膝枕してあげようかと言うのをいらないと切り捨てたからだ。
膝枕が気持ちいいかと言われればどうなんだろう、アスファルトの上よりはましかもしれないけど。
しろの指先が弄ぶように毛先を梳く。
最近なんだか深く眠れていないような気がして、睡眠不足な感があったからかもしれないけれど、そのリズムに押されるように瞼が重くなってくる。
「俺といて、楽しい?」
なのになんで、そんなことを聞くんだろう。
落ちてきた声は、しろにしては珍しい自嘲を含んだものだった。