嘘吐きな恋人
「なんで?」
「千沙は最近俺にぜんぜん本音話してくれないし」
目を開けた時に見えるしろの顔が、苦しそうだったら嫌だな。
笑ってても、嫌かもしれないけど。
それを知りたくなくて、万が一にも視界に入らないように寝返りを打って、しろに背を向けた。
「木原にはいろいろ話してるみたいなのに」
変えた体勢を追いかけるように、しろの指先がまた髪の毛に触れた気がした。
「なに、あんた、妬いてんの」
だとしたら、それはひどく滑稽だ。しろらしくない。
そんなのあんた、気にしないじゃん、いつもなら。
そうなのかなと小さくしろが苦笑した。