嘘吐きな恋人

「もうほんと、別にいいんだってば」



しろが口を開く。

簡単にごめんと謝るその唇は、あたしじゃない誰かに簡単に愛をささやける。

あたしに対して特別だという声で、同じことを誰かに言う。


でももうそんなことで、苦しくなりたくないとも思う。本当に。

だったら、――別にどうでもよくなってしまいたかった。


なってしまえたら、いいのにと何度も思っていた。


それがようやく、なれたような気がしている。

どこかひどくすっきりしたような、空っぽなようなよくわからない空白を抱え込んだまま小さく笑った。




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