嘘吐きな恋人

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木原によれば、うちのクラスの作業はだいぶ順調に進んでいるらしい。

この調子で行けば夏休みにそんな顔出ししなくても済むからと若干ほっとした顔でそう言っていたのは、昨年初めての高校の文化祭で段取りが上手くいかないまま夏休みに駆り出されまくった記憶があるからに違いない。

あたしとしても順調に進むに越したことはないと思っているけど。


工具箱を返しに技術室に向かって階段を上っていると、上から人が降りてくる気配がした。

この校舎の階段は狭い。両手に結構な量を持っていることもあったから、自然すれ違うのは避けようと踊り場で立ち止まる。

階上から姿を見せたのは、あまり会いたくはない人物だった。


「あれ、南さんだぁ」


必要以上に笑顔を浮かべて近づいてくる三浦さんから、あたしはそっと視線を外した。

喋りたくはない。その意志を体言するようにしたそれにも三浦さんは一切堪えたそぶりを見せず、さも親しげに立ち止まって話しかけてくる。

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