嘘吐きな恋人
「南さんがさ、中途半端なことばっか言ってるから、だからしろも困ってるんじゃないの。別れるだ別れないだ、いちいちしろの行動が気になるんならすっぱりやめたらいいのに」


なんでそんなことをあんたに言われなきゃならないの。

そう確かに思うのも本当なのに、三浦さんの声が毒みたいに浸食していく気がしてしょうがなかった。


それでも最後の意地みたいに、何も言わずに三浦さんの横をすり抜ける。
三浦さんももう言いたいことは言い切ったのかそれ以上追いかけてはこなかったけど。


「あたしなら、もっと上手くやれるのに」


楽しそうに馬鹿にしたように最後に放られたそれは、身体をえぐっていく。


――あたしは、顔が良いわけでも、スタイルが良いわけでもない。性格だって、お世辞にもいいとは思わないけど。三浦さんみたいな自信も何もないけど。

それでもあたしを選んだのは、しろだったはずなのに。


なのになんで、今こんな風になってしまっているんだろう。

しろはあたしの傍からいなくなっているんだろう。

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