嘘吐きな恋人
技術室のドアを足で開けて、乱暴に箱をテーブルの空きスペースに置いた。
そのまま机のふちに縋るようにずり下がっていった身体を起こす気になれなくて、他に誰もいないのをいいことにしゃがみこむ。
なんで、なんだろう。
もうずっと馬鹿みたいにそればかりを繰り返している。
でもいつまでたっても答えなんて出なくて。
捨てたくても、やめたくても止められなくて。どうしようもなくて。
もうどうでもいいといくら言い聞かせても、収まりがつかなくて。
こんなままならないのも、振り回されるのももう嫌だと、無理だと、そうやっと思えたはずなのに。
「―――千沙?」」
なのになんでいつもこんなタイミングでやってくるんだろう。
会いたくて苦しくて、でも放っておいてくれれば、それはきっと納まるのに。我慢できるのに。
なんでしろはこんなときにばかり、現れるの。
「しろ、」
しゃがみこんだまま視線を巡らせば、ドアのところにしろが立っていた。