嘘吐きな恋人
「千沙、お前、胃に穴空きかけてたんだって?」
まさに勝手知ったると言うやつで、久しぶりに会った千沙の兄ちゃんに簡単に挨拶だけして階段を上って、2階の千沙の部屋を開ける。
一昨日、放課後に倒れたと聞いた時にはめちゃくちゃびっくりしたけど、すぐに退院もできたみたいで、少しだけほっとした。
今ベットに転がってるのも、しんどいからと言うよりかは兄貴に安静にしとけとくどくど言われたからに違いないとその表情で当たりを付ける。
「その言い方やめてよ、なんかすごい神経質みたいじゃん、あたし」
「でも事実なんだろ? まぁ神経質っつうか、ストレス過多っぽいけどな、お前の場合」
「……それもやめて」
ものすごい不本意そうに眉間にしわを寄せた千沙に、思わず噴き出してしまった。
でも、なんかあれなんだよな。