嘘吐きな恋人
「木原もごめんね。心配かけて」

「あ、迷惑じゃなくて心配だってのは自覚してんのな」

「お兄ちゃんにも散々説教されたし。お姉ちゃんにもぐちぐち泣かれちゃったし」


まぁなんだかんだで千沙の姉ちゃんは問題ある人だけど、その分兄ちゃんがしっかりしてるしな。

あとさと少しだけ言いづらそうに千沙が言葉を紡ぎ始める。


「あんたが心配してくれてんのも分かってるの。その……しろとのこと」

「……あぁまぁ、そだな」

「でも確かにあいつすぐ浮気するし、しょうもないやつだけど、でもやっぱ居たいんだ、一緒に」


こんな言い方をしたらきっと千沙は怒るんだろうけど、その表情はなんだか恋してる女の子そのもので。

俺はもうならいいんじゃねぇ? と言うしかできなかった。

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