嘘吐きな恋人
「―――――――3日ね」
「え?」
「3日、あたしに近づかないで」
「え、なにそれ、そんなの俺千沙不足で死ぬ!」
なんでそんなこと言われなきゃならないんだとばかりに、泣きそうな顔をするしろに、あんたちょっとは自分の行動を省みてよと言おうかと思ったけど、やめた。
無駄だ。意味がない。
「知らない。っていうか、3日でなかったことにしてあげるって言ってるんだから、そっちに感謝してよ」
以前一度、1週間連絡を取らないで距離を置いてみようかとしたときは、5日目にもう無理と家まで押しかけられたことを思い出してしまったせいで、ここまで来てあたしはしろに合わせて譲歩してるのに。
でも別にあたしと何日間かぐらい会わなくても、しろの周りにはすぐに寄ってくる人間が何人でもいるんだろうけど。
――三浦さんでも、誰でも。
3日でこの感情の波が収まるかと言われれば、納まらないと断言できるけど。
でも少し間を開ければ、あたしはまた次が本当に最後だからねとため息交じりに言えるようになるんだろうと知っている。