君と歩いた同じ道
01
「…まだ好きやったのにな。」
プリクラを見ながらそう呟いた私の声はとても小さく、すぐにかき消された。
高校生の今、もう感情といったものはないけど、まだ“覚えてる”んだ。
たった1年という長さだったけど、大切で幸せだった日々。
確かに“忘れたい”“消してしまいたい”と思うときがあった。
でも、それは“過去”であって“今”じゃない。
幸せだと感じた時間(とき)だからこそ鮮明に覚えているんだ。
あの日々を─…
夏の暑さがまだ続く夏休み明けの9月。
中学2年生である私たちは10月の終わりに予定されている修学旅行の話し合いを進めていた。
とは言っても、私たちがこれから行うのは新幹線の座席指定や部屋割りなど細かい事。
ある程度重要な物は長期休み前に決めてある。
ただ、私は夏休み期間中に体調を崩し10日程入院していた。
丁度私の住む地域で肺炎が流行っており、見事に私もかかってしまった。
私の場合、とても悪化していて、一度咳をすれば過呼吸寸前まで苦しくなった。