二重人格神様
「………はぁ…っ…」
ルーテルさんのことを考えると、頭の中はあのことが浮かぶ
海鈴さん……来てくれたのは、嬉しかったよ
でも、海鈴さんには他の女の子が沢山いる。とても、とても、深い関係の子も
助けに来てくれた時だって、アレスは何も言ってないけど、女の子とイチャイチャしていた所だったんだから…面倒くさいって思われただろう
いくら、守るって言われても私は所詮…期間限定なんだもの
「……」
それに、あの時の海鈴さんも…おかしかった
口調も目付きも触りかたも、雰囲気も海鈴さんだけど海鈴さんじゃない
そんな、感じ。
「…はぁっ」
思わず、口からため息が零れる
気になることが多すぎるよ。ここにきたばかりなら、どうせ、すぐに帰るからって思って
気にしないのに、気になってしまう。
「…」
本当に私はどうかしてる……
自分のことが分からなく、再びため息を吐けば広い浴槽にアレスの声が響く
「幸せが、逃げてしまいますよ。いのり様」
「…え?」
少し離れた所で、背中を向けながら仁王立ちするアレスが言う
幸せが、逃げる?
「あ…ごめん…」
そんなにため息してたかな…多分、無意識だ
「…いえ」
「神様の世界でも、ため息は幸せが逃げるなんて言うんだね」
私たち、人間の世界の言葉じゃないんだ
そう思えば、アレスは小さく頷く
「はい。もともとの祖先を辿れば私達も人間も同じ世界に生きていましたから」
「……あ…そっか」
いつの日だったか、聞いた。
人間と神はもともとは同じ。ただ、その中でしだいに人間離れした力を持つものが生まれ…神様と人間…二つに別れてしまった
それを心よく思わなかった人間が神様に攻撃をしかけ戦争が始まった
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