二重人格神様





水音をたてながら、浴槽を移動しギリギリまで近づき私もアレスに背中を向ける




「あのさ…」


「はい」



「海鈴さんって…花嫁達に…えーと、なんて言うか…優しいの?」


「…はい?」


「ほ、ほら、私には優しいからさ他の皆にもそうなのかなって」


「あ…あぁ」



胸がドキドキする…どんな返事がかえってくるのか



身体が微妙に震え、それを抑えるように手を握るとアレスは天井を見上げる



「やさ、しいですね。分かると思いますけど…あんなですから」



「そ…っか」


やっぱりね。


「じゃあ、沢山花嫁いるし…大変だね!皆に優しくして…愛してあげないといけなくて…」



「…愛して、ですか?」


「そうだよ。だって、みんな海鈴さんが好きなんだし、海鈴さんは優しいから………きっと、夜とか…も……な、なんて!私は偽装だから…別に海鈴さんが誰とどうしようと…関係は、ない…か、ら」



駄目だ、上手く言えないよ。怖いよ…


途切れ途切れにアレスに言えば、アレスは何かを感じたのか首を立てにふる


「なるほど、ルーテル様に海鈴様は自分を含め沢山の花嫁を抱いていると言われ、妬いているのですね」



「え!?」



や、妬いている?わたしが?


「何を言って。そんなわけ…ないよ」



「そうでしょうか?海鈴様が他の花嫁達を抱いているからショックを受けて妬いてるとしか私は思えません」



「ち…ちがっ」



顔が赤くなり、両手で包むと物凄く熱く誤魔化すようにお湯をすくい顔に叩きつけると



アレスは今度は床をみつめ口を開く




「ルーテル様、うまいこと…いのり様を惑わせてくれましたね」



「……ぇ?」



「まぁ、なんと言いますか…ルーテル様が話した事は事実です」


「…っ」



スギッとやはり胸が傷んだ。何かを刺されたような感覚に襲われた頬から手をはなす





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