もっと、見せて。


「ご不満でしたら、契約を破棄してくださって結構です。」


凛とした声がオフィスに響いた。

隣の席で強く言い放つ彼女に気圧される。
電話の相手が、一瞬怯んだのが分かった。


「さ、佐藤くん!?」

壁際の課長が泡を吹く。

そりゃそーだ。
彼女が応対していたのは長年の付き合いになる取引先。いわばお得意様である。

受話器を置くなり課長が噛みつく。


「一体、どういう事だね!?今のは…」

「…慣れ合いは毒ですから。大丈夫、新しい契約は私が取ってきます。」

「そういう事じゃなくてだなぁ…ってオイ!どこへ行くんだ!」

「外回り!ほら青木くん、行くよ!」


課長も部長も手に負えない。
営業課のスーパー主任:佐藤由紀。

俺の直属の上司である。





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