不思議電波塔
「涼の感じるものはノールの感覚では感じられないらしい。ノールはかなり感覚強い方なんだけど。でも俺たちは本来こちらの世界にいる存在ではないから、ノールは『ユニス様でも、もしかしたら感じられないものを感じとっているのかもしれない』って」
涼はぼうっと忍を見ている。
「…涼?」
忍は涼の前で手を振った。
「あ…。何でもない」
「大丈夫?」
「うん…。忍ちゃん、イレーネと同じ雰囲気だなって思ってた」
「え…」
驚いたのは四季の方だ。
「涼ちゃん、忍がイレーネと同じ雰囲気だとか、わかるの?」
「うん。四季くんは、ユニスとバイオリズムが重なる。まったく同じではないけど、リズムの刻み方が同じ。時々ピッタリ重なる。時計の針が重なるみたいに」
「──」
四季は口に手を当て、こちらに飛ばされた時のことを思い出す。
「どうしたの?四季くん」
「ここに飛ばされる前──忍が『たすけて』っていう声を聴いて気分が悪くなってしまったんだけど、その頃イレーネも『たすけて』っていう声を聞いているんだよ。それで、僕とユニスがその時忍やイレーネに対して同じような行動をとってる。それと関係あるのかと思って」
「なくはないと思う。会長には四季くんの存在は大きい。ユニスを書く時に四季くんの影響が何処かであるんだと思う。イレーネは忍ちゃんの影響が何処かである」
由貴自身はそう思ってはいなかったのか、新鮮な指摘を受けたように涼を見た。
「うん…。そうかもしれない。考えたことなかったけど」
涼はほっとしたような表情を見せた。
「よかった。涼の勘違いじゃなくて」