不思議電波塔
「『何かが呼んでいる気がする』というのは?」
「うん…。会長と手を繋いで海を歩き始めた時からなんだけど…。最初はとても漠然としていたの。でも歩いているうちに『涼はその何かに会わなければ』と思って。ユリちゃんが『四季くんに会わなければ』って思ってたみたいに」
「必然を感じることなんだ?」
「そう。あと…今忍ちゃんを見ていて思った『イレーネと同じ雰囲気』と繋がったところに何かがあるの」
由貴は何か思うところあるのか考え込んでいる。
四季が「由貴?」と気遣うように問いかけた。
由貴は髪をかきあげると難しい顔で呟く。
「ジャスティ──かな」
「ジャスティ?」
「うん。小説ではまだ書いていない。この後、カウフェリン・フェネスという世界の歴史を背負っていく主人公。ジャスティはイレーネとの繋がりがある。『天の秤』──時の申し子として」
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