不思議電波塔
第六章 不思議電波塔
日本時間と、カウフェリン・フェネスのリオピア国王都ユーノヴェルティの時間は同じ。
アレクメス国王都ニオブラントは、日本時間とは丁度12時間の時差がある。
カウフェリン・フェネスの綻びをとめるために、四季が「行こう」と言った、ハロン国王都ダンヴァーフォーエンは、ニオブラントを真っ直ぐに北上した北緯50度にある。ニオブラントとの時差はない。
ジャスティたちがダンヴァーフォーエンに向かおうとしたのが、ニオブラントの時刻で午後4時30分頃。
目を醒ました由貴は状況を見て、その時刻に自分をカウフェリン・フェネスに戻してくれるよう、フェロウに頼んだ。
また、カウフェリン・フェネスで起こったことや、不思議電波塔で起こった出来事は言葉や絵になって、「青龍の森の書」に記されてゆく。
智たちは「青龍の森の書」と繋がっている携帯とを見て、状況を把握した。
「俺もハロンに行く」
玉座の間に、綾川由貴の声が響いた。傍らにフェロウを連れている。
手にはノートとシャーペン。歩いてきて、涼にそれを渡した。
「ありがとう、涼。四季と忍も。これがあったから助かった」
「うん。会長…大丈夫?」
涼が心配そうに見つめる。由貴は笑った。
「大丈夫。…ということにしておいて。一応眠ったから。創造の力って使えるんだけど、こういう力の問題点って自分には使えないんだね。他に使ったら使っただけ自分を消耗するだけで」
「あ…。じゃあ僕が由貴に使えばいいんだよ」
四季がそう言って由貴の手を取った。由貴の体調が良くなるようにイメージすると、それは回復魔法となった。