不思議電波塔



 ドン、と地鳴りがした。大地が震え始める。

 フェロウが叫ぶ。

「まずい。みんな一ヶ所に固まれ。時空ではぐれたら見つけられなくなるぞ」

 由貴と涼と忍はフェロウに守られるように固まった。

 人形が晴を睨む。

「一対一でケンカも出来ないのか。卑怯者」

「生き死にに卑怯者なんて言葉、あるの?身軽になれない奴がバカなんだよ」

 たすけてたすけてたすけてたすけけけててててて──。

 声の轟音。

 人形は由貴たちを見た。

 任務は四季に会うことだ。

 晴を倒せば、端的にそれは可能になる。

 だけど。

 人形は由貴たちを庇うように輪の中に入った。

「──忍」

 由貴が驚いたように、チョコレート人形の忍を見る。

 もっと機械的な存在かと思っていたのだが。

「大丈夫。今、由貴たちを助けなかったら、四季に会った時、悲しくなると思う」

 晴が勝ち誇ったように言った。

「残念だったね。これで、まとめてインプット完了だ」

 ──由貴、涼、忍、フェロウ、チョコレート人形の姿が轟音とともに消滅した。



     *



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