不思議電波塔



 四季の中にほっとした嬉しさが広がる。

「そうか──いいイメージを作り出して行けば、虚無は太刀打ちできなくなってしまうね」

 ユニスとイレーネは優しげな雰囲気の四季を見て、ほっとする。

「あなたが、この世界の描き手で良かったです」

「ユニス…」

「私は自然の中にいることが好きです。言葉なきものは心を静穏にさせてくれます。それは人の言葉にいろいろな想念が混ざってしまうことがあるからなのですが──時折、毒気のあるものにあたって、気分がわるくなってしまうことがあるのです」

「うん…。毒気でも人の想念からくる毒気はつらいね」

「でも、あなたの言葉には、毒気はほとんど感じません。綺麗な音楽を聴いているかのようです」

「──ユニスに言われると不思議な感じがする」

「え?」

「僕ね、ピアノ弾いているんだ。ピアニストになりたくて。だから、生きていて音楽のこと考えている時って、とても多い。ユニスは自然のことを音楽のように感じていること、多いよね。僕も自然界の音って好き。だからその感覚は何となくわかる気がする。あと、ユニスも無理を重ねて体調を崩しやすいよね。自分では頑張りたい気持ちがあるのに、身体がうまくついていかないの。それで、周りの人に怒られたりする」

 四季はもうひとりの自分でも見ているような気分だった。

 金髪碧眼の王子。

 外見こそ四季とは異なっているが、ユニスの感じ方は四季の感じ方と共鳴するものがあった。

「ユニスは12月17日生まれなんだよね。僕、12月16日生まれなの。由貴に聞いたらね、理由はないけど、ユニスの誕生日は僕の誕生日の翌日にしたって言ってた。だから僕も理由はないけど、ユニスは僕と何処か符号するものがあるのかなって思ってる。どう言っていいのかわからないけど…僕はユニスを見ていると元気になれる。だからユニスが僕の言葉を綺麗な音楽のように感じていてくれるなら、幸せだと思う」



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