不思議電波塔



 ユニスの白く優美な面差しに喜びがこぼれた。

 花のように美しい。

 四季がユニスを見ていて嬉しい理由はもうひとつあった。

 由貴はユニスの誕生日を、四季の誕生日の翌日にしたということに理由はないと言っていたが、ユニスを見ていて思ったのは、由貴の受け取った綾川四季を別の形で表現するとするならユニスになるのではないか、と思ったのだ。

 ユニスが日常的に考えている何気ないこと──たとえば、力を行使し過ぎると倒れてしまうとかだ──そういったひとつひとつが四季とは符号することが多い。

 だから四季にとってはユニスは親近感を覚える存在だった。

 イレーネが口を挟んできた。

「ところで、四季。あなた、疲れてない?」

「え?…ああ、うん。そうかな」

「そうだと思う。今日、忙しくしてなかった?あまり休んでないよね。睡眠を取るか食事を取るかした方がいいと思う。とりあえず、服を着替えて。食事にしよう」

 言い様が忍とどこか似ていて、四季は苦笑した。

「イレーネは忍と似てる」

「忍?」

「うん。僕の彼女。僕、時々食べなくなったりするから、それで怒ったり、気を遣ったりしてくれる」

「そうなの?ユニスもそうなんだけど。食べられる時は食べておいた方がいいよ。あなた達みたいな人の場合」

 四季は服を着替えると、ユニスとイレーネと共に宮廷内を歩き始めた。



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