天使の瞳

「あたし知らんかってんけどイジメにあってたらしい。綺麗からって、男に媚びりついてるとかでイジメにあってたらしい」

「じゃあ、別に音羽の前にこんでもええやん…。普通、そっちじゃないの?」

「…だって、もうイジメの張本人いないもん」


そう言われた瞬間だった。

ドクンと心臓が飛び跳ねた。

なんだろ、この嫌な感触。

汗ばむ手が気持ち悪い。


「…え、居ないって?」


千穂は少し顔を引きつらせた。


「死んだよ。自殺で…」


耳を塞ぎたかった。

耳を塞ぎたかった。でも、だけど手が震えてて動かなかった。


「…自殺」

「虐めてた子が言ってたんだって。あの子が居るってずっと言ってたんだって。でも、それが激しくなってとうとう自殺まで追い込まれたみたい」


だから次はあたしな訳?

分かんない。分かんない。

あたし何もしてない。だって、顔も話した事も何もないもん。


あぁ、そっか。

タクと居るからか。まだ、タクの事、愛してんだ。でも、あたしは彼女じゃないから。一度も付き合った事無いし、恋愛感情なんてないのに。

どうして、あたし追いつめんの?


“殺す”“死ね”…そう書いてあったメール。


…あぁ、あたし殺されるんだ。


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