天使の瞳
無我夢中だった。
気づけはあたしは図書館を抜け出して走ってた。
こんな話ってあるの?
ほんと、馬鹿みたい。
別にもういいよ、あたしだって疲れてんだよ。
死んだって別にいい。
でも、あんたになんか殺されたくない。
あたしが何したって言うん?
「…待て、音羽!!」
走って疲れた足。
ゆっくりと歩いていたあたしの手をタクが引っ張った。
でも、あたしはタクの顔すら見ずにひたすら歩いた。
「待て、音羽」
「……」
「マジで待て」
「……」
さっきよりもグッと引っ張られた腕に少し痛みが走る。
自分の方へと引き寄せるタク。
その所為で必然的に止まったあたしは振り返ってタクを睨んだ。