天使の瞳

「…音羽?」

「全部、全部、タクの所為やん!!」


思わず声を上げてしまった。

タクの所為にするのは間違ってたのかも知れない。

でも、だけど、今はただ誰かを責めないとダメになりそうだった。


「悪い」

「悪いって簡単に言うな!!あたしがどれだけ辛い思いしてるか分らんやろ!?あたしその人の事知らん!見た事もない!でも、だけどタクと言う繋がりだけでこんな目にあってる!!」

「……」

「もう訳分からん!!」

「……」

「だからもう殺されてもいいと思った!!タクと係わってなかったらこんな目に合ってない!!」

「……」

「だからもうアンタに逢着したくないから、あたしを…あたしを殺してよ!!」

「音羽、まて。落ち着け」


そう言ってタクはあたしを宥めようとする。



「落ち着ける訳ないやん。タクがあたしを殺したらあの人も楽になるはず。そして、あたしだって楽になれる」

「音羽…俺がそんな事出来る訳ないやろ」

「だって、もう嫌やもん。…タクの所為やん、タクが悪いんやん」


別にタクが悪くないって分かってるのにそう、あたしの開いた口はそう勝手に言ってた。

そんな狂った様に叫ぶあたしをタクはギュっと抱きしめた。



「音羽?…お前の事、守るから」


そう言ったタクの暖かい体温に涙が走った。

< 113 / 136 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop