天使の瞳
「…音羽?」
「全部、全部、タクの所為やん!!」
思わず声を上げてしまった。
タクの所為にするのは間違ってたのかも知れない。
でも、だけど、今はただ誰かを責めないとダメになりそうだった。
「悪い」
「悪いって簡単に言うな!!あたしがどれだけ辛い思いしてるか分らんやろ!?あたしその人の事知らん!見た事もない!でも、だけどタクと言う繋がりだけでこんな目にあってる!!」
「……」
「もう訳分からん!!」
「……」
「だからもう殺されてもいいと思った!!タクと係わってなかったらこんな目に合ってない!!」
「……」
「だからもうアンタに逢着したくないから、あたしを…あたしを殺してよ!!」
「音羽、まて。落ち着け」
そう言ってタクはあたしを宥めようとする。
「落ち着ける訳ないやん。タクがあたしを殺したらあの人も楽になるはず。そして、あたしだって楽になれる」
「音羽…俺がそんな事出来る訳ないやろ」
「だって、もう嫌やもん。…タクの所為やん、タクが悪いんやん」
別にタクが悪くないって分かってるのにそう、あたしの開いた口はそう勝手に言ってた。
そんな狂った様に叫ぶあたしをタクはギュっと抱きしめた。
「音羽?…お前の事、守るから」
そう言ったタクの暖かい体温に涙が走った。