天使の瞳
「あ、そうや」
不意に呟いたタクに視線を送る。
「今日、花火行くから」
「はぁ!?」
続けられた言葉にあたしは声を上げた。
「19時集合」
「えっ、ちょっと待ってよ。勝手に決めんとってよ」
「そんなん俺知らんわ。千穂が言いだしたんやから」
「千穂が?」
「うん。花火大会行こーってさ」
「ふーん…そうなんや。じゃあ行かなアカンよなぁ…」
千穂、うるさそうやし…
「つか、それって俺が誘ってたら行かんって事やんな?」
タクはギュっと眉間に皺を寄せてあたしを見る。
食べ終えたアイスのカップに煙草を打ち付けながら嫌そうに見た。
「別にそー言うんじゃないけど…」
「じゃあ、何?」
「別に…」
「また“別に”…かよ」
タクは呆れた口調でため息を吐きだす。
正直、タクとはあまり街をぶらつきたくない。
だってすぐ彼女扱いはされるし、出会う女には嫌な顔されるし。
だから、こんな目にあってるんや、…あたし。