天使の瞳
「音羽!!」
バンっと音を立てて開いたドアから制服姿のタクが現われる。
「お前、制服着ろよ」
今日から新学期。
昨日、迎えに行くからって言ってたタクがホントに来た。
でも時間間違ってんじゃない?って思う時間。
…--もう10時なんやけど。
もちろん行く気なんかなかった。
だからもちろん制服なんて着ていない。
「行かへんって言ったやん」
「迎えに行くって言ったやろ」
「だから行かへんって言った!!」
「もーとりあえず早よしろや。着替えさしたろか?」
そう言ったタクに、「アホ」そう素っ気なく返したあたしにタクは笑う。
その笑みがなんとなく久し振りだった。
行った頃なんてもう絶対に終わってる…と思いながら仕方なく、久々に制服を着る。
自転車に跨ったタクの後ろに座り、タクのシャツを掴む。
「なー、もう終わってると思うんやけど」
「まぁ、ええやん」
ええやんって言われてもな…
終わってんのに行っても意味ないやん。
暫くして学校とは違う道のりにあたしは辺りを再度見渡した。
学校とは方向の道。
何処行くん?
「なー、タク?」
そう思ってタクに声を掛けた時だった。