天使の瞳
「なんか良くわかんねーけど、とにかくごめん。そんで俺、コイツ…音羽と付き合う事にしたから」
「はぁ!?」
そう思わず声を上げて叫んだのはあたしだ。
何言ってんのタク?
そんなの聞いてないし知らない。
しかもこんな場違いの所で馬鹿じゃないの?
「だから…ごめん。でも俺の事スキになってくれてありがとう。んー…だから音羽に近づくの止めろよ」
“んじゃ、”
付け加えて手を上げたタクは何かを吹っ切れた様に顔に笑みをつくりその場を立ち去る。
何が何だか分からないまま置いて行かれたあたしは、すぐにタクの後を追った。
「ちょっ、ちょっとタク!!」
駆け足でタクに近づきタクの腕を掴む。
その行為に振り返ったタクは「何?」と言って首を傾げた。
「あたしと付き合うってどー言う事?」
「そのまんま」
「意味分かんないんだけど」
「え?音羽知らねーの?」
「は?」
「付き合うって意味」
「……」
「まぁ要するにお互いにヤるって事」
「ふざけんな!!」
フッと笑ったタクを本気でぶん殴ろうかと思った。
何もなかった様に足を進めて行くタクは自転車に跨りあたしに視線を送る。