天使の瞳
「別に…」
「また別に。好きやな、別にって言葉」
「そーじゃないって!別にもういいって事」
「へー…じゃ、俺にも権利あるやん」
「は?」
「音羽と付き合ってもいい権利」
そう言って立ち止まったタクはあたしの頭をポンと軽く叩いた。
「意味、分からん。恋愛感情なんかないのに…」
「分からんやん。これから芽生えるかもやん。音羽とおると楽やし」
それ、晃くんが言ってたよな。
「楽と好きは違うよ」
「んー…でも、音羽がいいや。あー…でも音羽に男が出来たら俺、すんなり離れるから。だからそれまで」
「え、何?期間限定って事?」
「そうなんのかな?俺も女出来たら終わり」
「そんなんすぐ終わるやん」
「つか、音羽にも俺にも出来んかったら続くって事やろ?」
「さぁ…何かよく分からん」
「だから、それまで一緒におって?俺、寂しいから…」
「アホちゃう」
フイっって顔を背けたあたしにタクはクスクス笑みを漏らす。
なんかよく分かんないこの関係。
でも、あたしは嫌いじゃなかった。
多分、LIKEじゃなくて、LOVEになる日までそう遠くはないと、この時そう思った。
【END】