天使の瞳
「…タク?」
「病院行こう」
「え?」
「緊急で行けば見てもらえるやろ」
「何で?」
「凄い血。だからお前、貧血やろ。顔色悪い」
縛ってあるタオルが赤く染まってた。
今でも、自分の血なんだろうかと思ってしまうくらい自分の中では謎ばかりだった。
「大丈夫」
「全然大丈夫じゃねぇくせに」
「……」
自分の思考がおかしくなりそうだった。
意識さえも微妙。
少し眠りについていたのかも知れない。
気づけばあたしの手は包帯で巻かれていた。
記憶なんて全くない。タクが行こうと言った記憶しかなくて、その後の記憶なんて全くなかった。
「飲み薬飲めよ」
「うん」
あたしに薬の袋を渡した後、タクはエンジンを掛けた。