天使の瞳
「音羽…?」
「うん?」
「大丈夫か?」
「あ、うん。大丈夫」
そう言って薄ら笑って見せる。
「あー、ほら。音羽の大丈夫は大丈夫ちゃうからな」
「な、何でよっ、」
「お前ってな、いっつも大丈夫?って聞かれたら大丈夫っつーからな」
「そんな事ないわ」
「そんな事ある。風邪引いた時だって大丈夫っつっときながら高熱で倒れとったしな」
「たまたまやん」
「そんなんにたまたまはあるか!それに…」
「…何よ」
「人間っつーもんは大丈夫って聞かれたら咄嗟に大丈夫っつー生き物」
「そうかな…」
「そうそう。だから無理すんなって事」
タクはあたしの荷物を全部持ちインターホンを押す。
「はーい」
すぐに返ってきたお母さんの声に何故かホッとしてしまった。
「あ、俺でーす」
「あー…タクくん?」
「そうそう。音羽も居ます」
「はーい。開けるね」
昔っからお母さんとタクはこんな感じだ。
それがいい事なのか悪い事なのかさっぱり分からないけど。