天使の瞳
「おかえり」
ドアを開けてすぐお母さんは明るく言った。
「ただいまです」
タクも続けて言葉を返す。
「タクくん焼けたんじゃない?」
「そうっすか?」
「うん、焼けてるよ。…で、この子はパラソルの下?」
お母さんはタクが持っているパラソルを見た後、あたしに視線を送った。
「まぁ、半分遊んで半分寝てたって感じっすかね」
苦笑いで笑うタクにお母さんも釣られて苦笑い。
「はいはい、もういいから」
そんな二人に素っ気なく返して、あたしはタクが持っている荷物を掴んだ。
「音羽、手どうしたの?」
荷物を持って中に入った瞬間、お母さんの不思議そうな声が届く。
「あーうん…」
何をどう言ったらいいのか分からないあたしは曖昧に呟いた。
「ちょっと切ったから病院に行ったんすよ」
「病院?」
タクの言葉にお母さんは少し首を傾げた。