天使の瞳
「はいはい。拓斗も笑わない、音羽も睨まない」
千穂は呆れた様子でため息をつき、あたしとタクを見た。
「だってタクが悪いんやん!!」
そう少し声を張り上げたあたしはもう一度タクを睨む。
「もー、拓斗も音羽の嫌がる事言うなよー。女の子は繊細なんやから」
「つか、俺なんも言ってへんやん」
「言ったわ!!お前の身体なんて誰も見ぃへんって言った!!」
思わず大きな声を出してしまった所為か周りにいた生徒達があたしの方をガン見した。挙句、もう一人の笑い声がこっちに近づいて来た。
「なんか、音羽ちゃん大胆やな」
そう言って笑いながら来たのはタクの親友の晃(こう)くん。
晃くんと千穂は同じ中学でもある。
「大胆って…」
「だってめっちゃ響いてたで」
「だってー…」
思わずガックリ気が抜けてしまった。
「な、もう音羽も気にするなって」
「つか、千穂も笑ってるやん。って言うか、タクが悪いんやから」
バンっと机を叩きつけると、タクは何気ない顔で、
「冗談やって。そんな事で怒んなや」
そう言ってニコっと口角を上げた。
ほんまムカツク、この男。