天使の瞳
「…ええよ、別に。けど…ちゃんとオカンに言っとけよ」
「…うん」
タクの家に着いた頃にはもう薄暗くなり初めてなんだかその薄暗さが気持ち悪く感じた。
オレンジ色と薄い青色が重なって、紫色みたいになってて、それが余計に怖さを感じた。
ちゃっかりタクのお母さんが作ってくれたご飯を頂いた後、あたしはタクの部屋で寝転んでテレビを見てた。
タクは煙草を咥えたまま同じくテレビに視線を送る。
別にたいした話をする事もなく刻々と時間が過ぎて行った。
「なぁ、タク?」
「うん?」
「本間は…本間は予定あったんじゃないん?」
しきりに携帯を触っていたタクが気になり、あたしはタクを見ずにそう言った。
「うん?何で?」
「…携帯」
「あぁ…。別に何もないで」
「いいよ気つかわんくて。ホントの事言ってくれたほうがいいし」
後ろからフーッと息を吐くタク。その吐いた息によって白い煙が目の前を通過した。
「…花火」
「花火?」
「おぅ。なんかせーへんって言われとった」
それを聞いて思わず目を瞑って息を吐き捨てた。
「…ごめん」
「つか、気にすんなよ。俺も行くの面倒くさかったし、それに…音羽が気になって行かれへん」
「…ごめん」
「謝るな」
「…ごめん」
「お前、今度謝ったら蹴るぞ」
後ろからタクの笑い声が聞こえる。
そんなタクに口角を上げながら振り返った。