天使の瞳
クーラーが掛って冷たい部屋。
タクと身体を寄せたままタオルケットを深くかぶった。
あたしを抱きかかえる様にして眠りにつくタク。
今までこんなふうに色んな女と寝てたんだ…って思うと、初めて何かシックリとこない感情が湧きあがった。
もちろん、タクとこんなふうに寝るのは初めてだった。
お互いなんの感情もないただの友達。
考えてみれば、何やってんだろうと思ってしまう。
そんな事を思ってたらいつの間にか眠りについていた。
目を覚ました頃には外は明るくカーテンの隙間から日差しが差し込んでいた。
眠りにつき前の態勢とは何も変わらずタクの腕があたしの身体に絡みついていた。そのタクのの腕をゆっくりと離し、あたしはベッドからすり抜ける。
まだ起きそうにないタクを横眼で見て、あたしは部屋を出た。
一階に下りるともうタクのお母さんも誰も居ない。
洗面所に向かったあたしは何度も何度も冷たい水で顔を洗い、洗面台に手をついて俯いた。
「…音羽?」
突然聞こえた声に身体が飛び跳ねる。
俯く顔を上げると、そこには乱暴に髪を掻き乱すタクがいた。