年下の不良くん
「恩知らずも甚だしいな
お前は反意を言える立場では無いことをわきまえろ
これは絶対だ
もう向こうにも、既にそう伝えてある」
でもっ…でも…!!!
──私には翔くんがいるの…!!
グッと無意識に、爪が手に食い込むまで、握っていた拳を強くしていた
「…そうだ、お前
あの餓鬼とは当然、縁を切れ」
「“餓鬼”…??」
誰…の事よ…
「“清水翔”とか言う餓鬼だ」
「なっ…!!
もしかして、勝手に私の周りを嗅ぎ回ったって言うの!?」
知らない内にそんな事をされた私は憤慨する
「りりか様、口を慎んで下さいませ」
私の物言いに篠原さんが口を出す
「まぁ、良い
まだ世の中をわかっていない、小娘の証ではないか
…だがな、お前」
そう言って、睨まれる
「私がお前の周囲に害を成せる事が、どれほど簡単な事か知っておけ
…そうだな、人間が虫を殺すのと同じくらい簡単な事だ」
フッとまた嘲笑う
…完璧に父の、この人の、手の平で遊ばれている…
……だけど、私には逆らうことができない…
なんて私は…無力なんだろか…
悔しくて悔しくて、溢れ出しそうな涙をグッと口を噛み締めて我慢する