年下の不良くん
「お願いしようかな」
「じゃあ、ちょっと待っててね」
カップにコーヒーの粉を淹れて、ポットからお湯を注ぐ
「熱いから、気をつけてね」
テーブルのイスに座っている春輝に手渡すと、何故かいつまでも見られていて…
「な、何…??」
「え、いや…本当に気が利く子だなと思って…」
「ふふっ、そんな事ないよ」
買ってきた食材をせっせと片付け終え、私も彼の前に腰を下ろした
「…お母さんの育て方が良かったんだね」
母親の事を誉めて貰えて、私は嬉しくなる
「…ありがとう、春輝」
「うん
…じゃあ、先に風呂に入ってくるよ」
「あ、お湯まだ湧かしてない…!!」
「いいよ、いつもシャワーだけだから
りりかが湯船に浸かりたいなら、溜めておくけど、どうする??」
「あ、それなら私もシャワーだけで」
明日からは、彼が帰って来る前に夕飯やお風呂は準備しておこう
そう心がけた
脱衣所に行った彼を見送った私は、ずっと電源を落としていたケータイを付けた
【着信106回】
有り得ない数値にびっくりしたが、そのほとんどが翔くんだった
…心配かけてるなんて、わかっている
だけどもう、後戻りなんかは許されないの…
メールもたくさん来ていていたが、未開封のままケータイを閉じた
そしてお風呂から上がってきたばかりの春輝に
「──明日、会いたい人が出来たから、行ってきてもいいかな??」
と、そう尋ねたのだった