年下の不良くん
「そう言われると気が楽になってしまって、先延ばしになるのが俺の悪い癖なんだよね」
ははっ、と力なく笑った
「そんなことしてたら、秘書の方に怒られちゃうよ??」
「そんなの毎日だって
今日も“早くこの資料に目を通せ”ってどやされたからね」
「ふふっ、タメ口の秘書さんなの??」
だって、春樹は社長さんでしょう??
「うん、幼なじみだからね
周りが言わない分、言いたいように言うんだよ
幼なじみの権力を使ってさ」
困り果てたいる春樹だが、どこか楽しそうに見える
幼なじみとは、そういうものだからね
「じゃあ、偶には春樹もガツーンと言ってみたら??
政権交代になるかもよ??」
冗談で言った発言に、ブルブルと首を左右に振り
「それが出来たら苦労しないよ…」
と肩を落とした
ふふっ、それだけ仲が良いんだね
どんな人なのか気になるな
きっと、話からすると面白い人に違いない
夕食を食べ終え、先に彼がお風呂に行き、私は後片付けをする
武蔵くんが言った言葉が頭を過ぎった
まだ彼が私の家で待ち続けている、ということ──
本当に、この判断で良かったのだろうか
──でも、今更悩んだ所で戻れない
あぁ、駄目だな…
しっかりしなきゃあいけないのに…
ブルブルと頭を左右に振って、考えていることを吹き飛ばした