年下の不良くん
「──おっきい…」
あれから少しして、私は半ば強引に春樹に引っ張られて、彼の会社にやってきた
そびえ立つビルは父の会社と互角であり、これを春樹が経営しているとは、にわかに信じがたい…
「ははっ、普通だよ、これくらい」
春樹の背中に隠れるように私は着いて行くが、初めての場所にキョロキョロと周囲を見渡
す
ロビーに入ると中にいる全員の社員が、春樹が通るまで頭を下げている
その光景はまるで大名行列かのようで、私は恐縮するばかりである
やっとエレベーターに乗り込み、二人きりになると、私は大きく溜め息をついた
「すごいね…会社って…」
放心状態の私に春樹がクスクスと笑い、頭をポンポンと撫でた
「りりかには衝撃的だったね」
「うん、びっくりしたよ
社長てすごいんだね」
改めて春樹の偉大さがわかった気がする
この大きな会社に勤務している社員を動かしている、この若社長の腕は確かであり、そんな彼を侮ってはいけないのだ
──と、先ほど私達が通り過ぎた後、陰口を言っていた人に伝えたい