年下の不良くん
それは私が一週間前、家を出るときに書いた置き手紙だった
ヒラヒラと宙を舞い、地面に落ちたそれは、何度も握り締められた跡があり、グチャグチャだった
【私とは別れて
ありがとう、さようなら】
手紙は短くまとめた
余計なことを書いたらボロが出そうで…
溢れる涙を拭って拭って、ぼやける視界の中、書いたのを思い出した
「今回のは本当よ」
一回目はただ脅されたのと、その時の関係があやふやだったから
静かな空間が私達を包み込む中、彼がハッと鼻で笑い
「マジ、冗談は程々にしろよな」
私を真っ直ぐと見つめてきた
思わず、反らしてしまいしそうになる
「…冗談なんかじゃないよ
もう、新しい人もいるの」
わざと彼に見えるように、左手で耳に髪をかけ
ると、彼が酷く傷付いた表情を見せた
それが目的でしたというのに、反射的に自分の心もズキンと鳴るのだ
頭ではわかっていても、心は、気持ちは、自分に嘘をついてはくれない