年下の不良くん

「これだけは聞かせて」

笑っていた二人の顔が、キリッと真剣なものに変わったので、自然と背筋が伸びた

「嫌いで別れたとかではねぇんだな??」

「──それは違う」

真っ直ぐと、二人を見つめる

「…だけど、翔くんには、嫌いで別れたって事にしてる」

多分、それが一番、相手にとって納得の出来る別れ文句だと思うから

「ん、わかった」

「杏も、オッケーだよぉ
この事は、内密に、でしょぉ??」

「杏にしては、難しい言葉知ってんね」

「麻衣、五月蝿いしぃ」

また、いつもの会話に戻ったので、二人がこれからも私と、絡んでくれるのが読みとれる

別れ際に二人が、“翔の事は任せて”、と言って帰って行った

私が何も言わなくとも、わかってくれていた、二人

あの二人とは翔くんの事でいろいろあったが、今では心から信頼出来る数少ない友達の一部だ

そんな二人からの言葉は、不安定になっていた私を強くさせた


武蔵くんに、杏や麻衣、心強い友が三人もいる

翔くんは大丈夫だろう


──と、安心していた私は、なんて浅はかだったのだろうか──…

< 198 / 408 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop