年下の不良くん
「これだけは聞かせて」
笑っていた二人の顔が、キリッと真剣なものに変わったので、自然と背筋が伸びた
「嫌いで別れたとかではねぇんだな??」
「──それは違う」
真っ直ぐと、二人を見つめる
「…だけど、翔くんには、嫌いで別れたって事にしてる」
多分、それが一番、相手にとって納得の出来る別れ文句だと思うから
「ん、わかった」
「杏も、オッケーだよぉ
この事は、内密に、でしょぉ??」
「杏にしては、難しい言葉知ってんね」
「麻衣、五月蝿いしぃ」
また、いつもの会話に戻ったので、二人がこれからも私と、絡んでくれるのが読みとれる
別れ際に二人が、“翔の事は任せて”、と言って帰って行った
私が何も言わなくとも、わかってくれていた、二人
あの二人とは翔くんの事でいろいろあったが、今では心から信頼出来る数少ない友達の一部だ
そんな二人からの言葉は、不安定になっていた私を強くさせた
武蔵くんに、杏や麻衣、心強い友が三人もいる
翔くんは大丈夫だろう
──と、安心していた私は、なんて浅はかだったのだろうか──…