年下の不良くん
「…うん、努力する…」
『ははっ、冗談だからそんな真剣に答えないでよ
…けど、いつでも私の胸、貸して上げるからね
あ、けど一回につき高額の値段が付くけど』
と言って、それこそ冗談を言うもんだから、場の雰囲気が和らいだ
「うん、ありがとう
じゃあね、また明日」
別れの挨拶を告げて電話を切った
私は机の引き出しから、そっと小さな小袋を取り出す
「…未練がましい女…」
小袋の紐を解き、中の物を取り出した
「返すべきだった、よね…」
中から取り出した物は、翔くんから貰った指輪とブレスレット
この二つを本当は、家を出たあの日、彼に返そうとしたのだが、どうしても出来なかったのが現状だった
「…何が“強がり”だ…」
こんなのただの未練がましいだけである
ぎゅっと、指を握り締めると、幸せだった日々が蘇ってきて、涙が頬を濡らす
ごめん、優美…
さっそく、約束、破っちゃった…
終わりを知らない涙は、次第に増すばかりで…
「……翔くん──…」
そして、小さくかき消えるような声で、何度も何度も伝えることの出来ないこの想いを口にした──…