年下の不良くん

「お父さんが心配する事は、そんなに珍しい事なの??」

コクンと頷き、自分の本心を初めて赤裸々に語る

「父は、私を娘だと何とも思ってないの
ただの暇潰しに、私の世話をしてくれてるの…
…だから、そんな私を心配だなんて、びっくりしちゃった」

ははっ、と力なく笑うと、強く抱き締めてきた

その腕は力強く、何もかもを背負ってくれるような、そんな腕で…

思わず、その腕に甘えてしまいそうになる

「無理して笑わなくてもいいんだよ
泣きたいときは泣いたらいいんだから」

そう言って、彼の腕の力が強くなった

「……大丈夫
そんなの昔からだから、慣れてるよ」

きっと、彼に甘えちゃったら、私はそれに付け込んでしまう

…それに私を何もかも包み込みんでくれる腕は、これじゃない

本当に泣きたい場所は、ここじゃない…



日に日に大きくなってしまうこの想いは、伝えることは許されない

だけど、心の奥底で、この想いを大切にしまっておきたい


そっと、失礼の無いように彼の腕を解く

「ありがとう、気持ちだけで十分だから」

微笑むと微笑み返してくれる彼は、人の痛みがわかる、本当に優しい人である

そして、そんな彼を傷つけないようにしようと思った



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