年下の不良くん
浮かない気分の中、学校は終わった
今日は春樹は会社に泊まると、先程連絡が来たので、家事をしてから簡単な夕飯を作った
久しぶりの一人の夕飯は、少し物足りなくて、こんな生活を何年もしていた自分を誉めたくなる
お風呂に入り終え、後は寝るだけになったのだけれど、目はまだ冴えていて…
テレビを付けても、何もおもしろい番組はやっていない
「…一人って寂しかったんだね」
ポツリと呟いた独り言は、余計に虚しくさせる
もう横になろう、と思い自室に入った
机の上には翔くんから貰った指輪が置いてあった
「昨日のままだったんだ…」
翔くんとの指輪を握ると、何故か力が湧いてきて、ここ最近はお守りみたいになっていた
この部屋には春樹は入ってこないので、そのまま置いていても大丈夫である
「もう彼女出来たんだね…」
今日の昼間の事を思い出すと、胸が締め付けられる程苦しい
優美にはあんな偉そうに言った癖に、心の底では、隣にいた彼女が羨ましいのだ
彼が見つけた新しい幸せ
これを素直に喜ぶべきなのだけれど、まだそこまで気持ちがついていけていない
自然と指輪を握る手に力が入る