年下の不良くん
ポタポタと流れ落ちる涙が、気持ちに拍車をかけてしまう
彼との過ごした短い時間が、どれほど幸せで、大切であったことだろうか
私以外誰もいない家だというのに、声を押し殺して泣いていた
婚約者の家で、違う男性を想って泣いているということに引き目を感じる
だけど、涙が止まらないの…
──ピンポーン
そんな中、下からインターホンが鳴る音が聞こえた
「え、…まさか、春樹が帰ってきたの」
急いで涙を拭い、指輪をポケットに入れて下に降りる
ドアの穴から春樹か確認すると、ドアの向こうに立っていたのは、爽さんだった
ドアを開けると、爽さんは寒そうに手に息をはいている
「こんばんは
どうしたんですか??」
彼がここに来るのは、私が来てから初めての事だ
「春樹が必要な資料をここに忘れてきたから、代わりに取りに来た」
失礼する、と言って中に入った
私は寒そうな爽さんの為に、コーヒーを淹れて彼が降りてくるのを待った