年下の不良くん
「ふふっ、大丈夫ですよ
翔くんは無口なので」
「清水より、友達の武蔵の耳に入ったらと思うとだな…」
「あはは…確かにそうですよね」
武蔵くんは、お喋りさんだから、確実に短時間で、その良からぬ噂が広まるだろう
「岡本、その…悪かったな」
「へっ??」
先ほどの空気から一変し、きりりとした空気になる
私はいったい何故、先生が謝ったのかわからなかった
「別れた彼氏の事で、お前を巻き込んでしまったこと、本当に申し訳ない
それに、今は先の進路で忙しいのに…」
「先生、大丈夫です
私、成績には余裕があるから」
敢えて、翔くんのことには触れずに返した
先生は全て言わずとも、私の気持ちをはなから気づいている
それを聞いてこないのは、萩原先生の人柄の良さからである
「岡本は相変わらず、人が良すぎるぞ
先生はいつかお前が痛い目をみないか、心配でならん」
としくしくと泣くふりをする先生に、笑ってしまった
しばらく、私は先生と世間話に花を咲かせてから、いつもよりかなり遅い帰宅をしたのだった