年下の不良くん
第三十六章
──2月14日、前日
私は帰宅してすぐに、チョコレート菓子作りに没頭していた
何故ならば、明日がバレンタインだからだ
バレンタインは、女性から男性にチョコレートをあげる日となっているが、実際のところは、女性が友達にあげる日となりつつあるのが、この学生の現状
私もその一部である
せっせと大量のチョコレート菓子を作り終える
何としてでも、春樹が帰ってくるまでには仕上げとき、前日だが渡したいのだ
その計画は上手く進み、私は彼が帰宅するまでに全ての作業を終わらせた
「ふぅ…」
一段落がついたところで、玄関の開く音がして、春樹が帰ってきたことを知らせる
「春樹、お帰りなさい
あ、爽さんもいるっ」
「ただいま
一緒に夕飯をしようと思ってね」
「俺は断ったんだが、コイツが無理矢理にな」
そう口では言うが、いつも仏頂面な顔が少し緩んで見える
「それにしても、この家から凄いくらいチョコレートの匂いがするね~」
それが何故か分かっているのに、わざわざ春樹は口にするのは、爽さんが言った言葉を誤魔化したかったからであろう
春樹が話を反らすときは、自分に不利なときだとこの間、爽さんに教えて貰った