年下の不良くん

我先にと挨拶が飛び交うのを、私は小さくなりながら通りすぎる


やっと社長室に辿り着いた頃には、どっと疲れが出てきた


「ふぅ~…」


肩で息を着いた私に、橘さんがお茶を出してくれて、彼のシンボルとも言える、ほんわかした笑みをくれた


「いつもお疲れ様で御座います
今日も社長に無理矢理、ですか??」


「あはは…」


痛いところを付かれて、私は苦笑いを浮かべていると、いつもの陽気な雰囲気に戻った春樹がぶつくさと文句をたれる


「無理矢理ではないよ??
ちゃんと、来てほしいとお願いしたし」


「りりかは頷いていなかった風だったのだが、それは私の見間違いであったか」


今朝の私達の会話を、一部始終みていた爽さんが真実を口にすると、春樹が口を尖らした


「だってさ~、仕事つまんないんだも~ん」


「仕事につまらないのくそもあるか
つまらないで会社に女を連れ込むなど、お前そんな事をしていると、社員に嘗められるぞ」


「あ、それは多分無いでしょう
浮いた話が無かった社長に、急に婚約者で出来たことで、社員は浮き足だっておりますし、男性社員は、女子社員を取られずに済むと、安堵しておられますので」


まるで社長の味方とも言える橘さんの意見は、爽さんの眉間に皺を寄せる原因となったのだが、疎い橘さんはそれに気づいていない


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